ELECTROCHEMICAL CELL 電気化学セル
ELECTROCHEMICAL CELL
電池評価セル SB
電池内部観察用透明電極セル
SB2600
透明な銅薄膜電極を用いて、電池内部の充放電現象を直接目視観察できるセルです。
関西センター 電池技術研究部門の研究紹介トピックに～電池の内部で生じる反応を非破壊で直接目視する手法を開発～として、本セルの技術情報が掲載されています。
特徴
- 光透過性を有する銅薄膜電極で、電極裏面から広範囲の観察が可能。
- セパレータを介して加圧された状態で観察可能。
- コイン電池と同等の動作性能を確認。
- 気密構造で長時間、大気中での観察に対応。
- 組立／解体が容易で、後分析の高スループット化を実現。
用途
- 金属リチウム二次電池の析出／溶解プロセス挙動やガス発生挙動などの観察。
- 加圧状態での電極界面における不均一な電極反応の観察。
従来のin-situ観察について
In-situ用の光学的な電池観察用セルは、観察極と対向する電極に穴を開け観察極を観察する必要がありました。
その結果、電極全体の充放電挙動に対して、観察ポイントは電極が対向しておらず、実際の反応を観察できていない懸念がありました。
本セルは石英に薄い銅膜をスパッタ蒸着すると、銅が透けて見える物性を利用したセルです。
そのため、対極に穴を開けることなく、電極とセパレータが加圧された状態で、透けた電極の裏面からリチウムの析出状態などを直接観察することが可能です。
セル構造
Cuスパッタされた石英電極径は16mmです。窓の開口径は12mmで、この視野全体で観察が可能です。
直径16mmの電極より4箇所枝状に伸びたCuスパッタ面より4つのプローブで電気的コンタクトを取る構造で、反応面内の電圧ムラを低減します。対極も直径16mmとなっており、電極押えを介してスプリングで電極に一定の面圧を付加します。スプリングは標準の1kgfに加え、3，5，7kgfのオプションがあり、面圧を変化させた試験にも対応します。
測定例 ～金属からリチウムの析出／溶解～
【充放電試験】
〈測定条件〉
電流密度：i = 1.0 mA cm-2
電解液：1.0 M LiPF6 in EC / DMC = 3 / 7
電池内部での金属リチウムの析出と溶解の過程を目視で観察しました。
数mCの初期のLi析出を確認することができ、Cycle経過に伴い、Li析出量が増加していることが分かります。また、面圧をかけられている状態において、Li析出と溶解が電極の面内で不均一に生じていることから、電流密度の偏りや電極材の欠陥が充放電に影響していることが分かります。さらに、5サイクルを重ねるとLi の析出の偏りが拡大しています。
本データは、産業技術総合研究所 電池技術研究部門の橘田晃宜博士
よりご提供頂きました。
仕様
SB2600 仕様
（項目毎にご選択ください）
| 項 目 | 品 名 | コード | 仕 様 | |
|---|---|---|---|---|
| セル本体 | S2600 セル本体 | 14301 | 材質：SUS304/316，PPS，PTFE，パーフロ O-リング スプリング荷重：1kgf |
|
| 交換用 | S2600 ゴム 1回分 | 14302 | 材質：パーフロ O-リング | |
| 504210 絶縁スリーブ 8個（M4用） | 14264 | 材質：PPS | ||
| SB2A-OP02 スプリング（1K） | 14087 | 材質：SUS316 スプリング荷重：1kgf |
||
| 電極 | S2600 観察用透明電極（銅）1枚 | 14303 | 材質：石英，成膜材（Cu） | |
| S2600 観察用透明電極（銅）3枚セット | 14304 | 材質：石英，成膜材（Cu） | ||
SB2600 オプション
| 品 名 | コード | 仕 様 |
|---|---|---|
| SB2A-OP03 スプリング（3K） | 14088 | 材質：SUS316 スプリング荷重：3kgf |
| SB2A-OP04 スプリング（5K） | 14089 | 材質：SUS316 スプリング荷重：5kgf |
| SB2A-OP05 スプリング（7K） | 14090 | 材質：SUS316 スプリング荷重：7kgf |
開発の背景
実用の電池は、セパレータを介して二つの電極が対向し、それらが加圧・密閉された状態で動作しています。このような電池の内部で生じる反応は、二つの電極で閉ざされているため、直接目視で観察することは困難でした。この度、電池の内部を非破壊で直接目視観察できる光透過性電極と観察用電気化学セルの販売を開始いたしました。
本商品は、国立研究開発法人産業技術総合研究所の研究成果 (特願 2025-056480) およびそれに基づく技術コンサルティングによって製品化されました。